東工大院試体験記 2025 幾何学専攻

自己紹介

初めまして。幾何学専攻のコタというものです。この夏無事に院試に合格することができたのでこのようにまとめてみようと思いました。僕の大体の数学力としては数学系専門科目のGPAが1.79なので正直あまりよくありません。学部二年生のころからおもに代数系の授業を中心としてあまりついていくことができずこのような成績になりました。しかしなんだかんだ数学は好きなので院に進むつもりでいました。院試には落ちたくないので学部三年の後期から院試の勉強を始めました

院試までの流れ

学部三年の後期に位相幾何学のゼミに進むことが決まったのでそこから院試を意識し始めた。友人と北大と東北大の基礎科目の問題を解きあう会を週一回で行った。春休み期間中は位相幾何学のゼミの本を読むことに労力を費やし、院試については基礎的な知識の確認をする程度だった。四月の間はホモロジーの問題を確実に解けるように知識を固めた。五月後半から東工大の問題を本格的に解き始めた。時間を図って解くのはメンタル的に厳しかったため時間を図らずにひたすら解いていた。また友人と何回もゼミを行いわからないところはその都度解決していった。

本番

とんでもない緊張で吐き気が尋常じゃなかったが、吐くのはやめておいたほうがいいとアドバイスをもらったので何とか吐かずに試験を迎えた。試験中は全く緊張しなかったのでわりかし実力を出し切ることができた。

問題の所感

午前

1  (1)は基本的な計算問題。こういうのを落とすのが一番痛いので少し丁寧に計算を行った

(2)は最初はわからなかったが戻ってきて実験をしたら行列Aの多項式を考えるときに一列目の一次独立性を使えることに気づいたので解けた

(3)は最小多項式の基本的な性質を失念しまっていたので適当に一番の固有多項式を述べた。

この問題は線形代数の世界に乗っていたらしい。今回の午前の問題で二番目に簡単な問題なので完答できなかったのは悲しい。

2 (1)は東工大平成12年の線形代数の手法を使えると思ったらそのまま解くことができた。勉強の成果が出たようでうれしかった

(2)回答の方針が全く浮かばなかったのでノータッチ。振り返っても自分の実力的にこの問題を解くのは厳しい。

一番は東工大で何回かで多様な問題の類題だったのでこの問題が差をつけることのできる問題なのかなと思った。(こんなの解けて当たり前やろという人はGPA1.79が何かほざいてるとでも思ってください)

3 位相空間論の問題。体感的には一番簡単だったように思う。とはいえ全く詰まらずにサクサク解けたのは当日のコンディションがよかったのかなと思う。特に感想もない。

4 解析の問題 僕は解析が特に苦手で解析の問題は特に演習を重ねてきたが結局本番まで分かり合えなかった。(1)は逆関数になっていることはわかったのだが逆にどう書いていいのかわからなかったので証明できなかった。(1)がわからなかったのでそのあとも解けていない。この問題は時間があればじっくりと解ける気がするが自分の実力では時間内に解くのは厳しかった。

5 積分の問題 (1)は極座標変換でとけたと思っていたが冷静に考えてみると解けていなかった。rのほうだけで収束を考えていたためおそらく点はなし

(2)は問題の見た目で解く気が失せた。

一番は考えミスっていたがまあそれも自分の実力なので仕方なし。結局解析の問題は全く取れていない。

 

午前を終えて全く解けた感じはしなかったけど自分の実力で解ける問題はとれた気がしたので結構気分がよかった。周りの友達の反応的に少し難しかったのかなとおもった。

(僕はどの年度の問題も正直あまり解けていないのでメンタル的なショックは少なかった)

 

午後

ホモロジー複素解析に自信があるのでその二つを真っ先に解き始めた。しかし複素解析の問題がいつものような感じではなくパニックになった。おそらくあまり点数が取れていない。そのせいで簡単だったホモロジーの問題で一番最初の段階で凡ミスをしてしまい。MV列の計算がすべてずれてしまった。今回の試験の一番のやらかし。あとで聞くと微分幾何の問題が簡単だったそうなのでそっちを解けばよかったと思った。まあ後の祭り。

 

ホモロジーに部分点が入っていれば方針はあっているので全体で半分くらいは入っているかなという感じ。あれだけやったホモロジーをよりによって簡単な問題なのに間違えたのは悔しかった。本番は何が起こるかわからない。

英語

英語の数学用語を覚えて臨んだが全くその必要はなかった。本番当日まで英語は対策する必要はないと思う。自己責任で

そんな感じで筆頭試験を終えた。こんな感じで出来は悪いがケアレスとかがハチャメチャに多かったわけではなかったので終わった後は割と満足していた。これで落ちたらそもそも実力不足だなーとおもっていた。

翌日の5時に口頭試問の発表があって無事番号があったときはここ最近で一番うれしかった。

口頭試問

口頭試問には、志望理由、ゼミでやった内容、先生の専攻、解きなおしを答えられるように準備していった。本番は幾何学専攻の先生五人が座っていた。聞かれた内容は準備した内容のほとんどそのままだった。先生の専攻は聞かれなかった。

割とさっくりしていたので受かっているのかなという感じはした。あとから先生に聞いてみると点数的に受かるラインだったので割と素通りの口頭試問だったらしい。

そしていざ結果を見てみると合格していた。東工大に受かったときの50倍うれしかった。

院試を終えて思ったこと

 まず僕が院試に受かった要因として大きいのは先生の協力があったこと。ありがたいことにホモロジーの解法について質問があったら答えてくださり、また院試前に勉強期間を設けてくれた。 院試についてとても理解のある先生でとても助かった。

自分の勉強法としてよかったと思ったのは友人とゼミをしたこと、いろいろな大学の問題を解いたこと、ホモロジーを固めたこと。  

 院試は団体戦なので同期の力は惜しみなく借りるべきであり、自分も協力することで自分の知識を固めることになる。ぼくみたいに自信のない人間は周りの人の力を借りるべきである。改めて優秀な同期には感謝しかない。

 また東工大のほかに東北大、北大、京大、の問題を解いた。院試には院試固有のテクニック。また有名問題があったりするので経験値を高めるのは大事だと思った。

 ホモロジーは自分が位相幾何学専攻なこともあるかもしれないが、周りの人の話を聞く限り専門科目群の中でかなり解きやすいほうだと思う。幾何学専攻じゃない人もホモロジーの問題を解けるようにしておくとより合格率が高くなると思う。基本的にはマイヤービートリスと胞体分割で解くことができるので授業の時点では難しいが余裕があったら勉強してみてほしい。

最後に

院試は4年生まで進学できていれば勉強をきちんとすればちゃんと合格できる可能性のある試験なので望みをもって向かってほしいです。あと難しい問題を取ろうとするのではなく簡単な問題を取りこぼさないことを考えて臨んだほうがいいです。頑張ってください。